第二回はClub930turboの陰の会長(笑)た〜ちゃんさんの登場です。とても道に詳しく、私たちが地方へ遠征するときにはた〜ちゃんさんにルートを決定しマップ作成して頂いたりと、私をはじめとしてc9tメンバーはみな兄貴のように慕っています。(以下、愛情を持ってた〜ちゃんと呼ばせて貰います!)930ターボは85年式の黒。普通ポルシェというと超高級外車的扱いをする方も多いのですが、た〜ちゃんにとっての扱いは国産車と何ら変わらないのです。たまたま想い続けた車がポルシェであっただけ・・・。灰皿に咥えられたブースト計を指摘すると「使えれば良いでしょ!」とあっさり答えてしまう・・・そんな男です。

 
メンバー名 た〜ちゃん
現住所 東京都
所 属 club930turbo・新倉会
趣 味 車・バイク,ドライブ・旅行
好きな物 930turbo・シャコタン・ツライチ・引っ張り・深リム
自己紹介 くるま大好き! た〜ちゃんです。
私のホームページも見て下さいね!!
http://www010.upp.so-net.ne.jp/poruru930/

 車好きの原点は、た〜ちゃんのおやじさんに有るみたいです。幼少の頃TE27トレノが自家用としてあり、今回想すると当時流行りのソレックス、タコ足、デュアル出し(ソレ・タコ・デュアル)仕様になっていたとのことです。でもそんなことは子供には全く関係ないですよね(笑)。おやじさんはこの車でスキール音を上げながら峠を攻めていたそうです。た〜ちゃんも勿論無理矢理同乗させられていたと言うことです。

「なんせ子供の時だったから、当時は何の車か分かんなかったけど・・・何しろウルサイ車で乗り心地も最悪でした。だけどオレの親父はその車が好きで、暇があると弄くっていたんですよ。」

 そんな車好きなひどい(!?)親父さんにすり込まれた直後に来た、スーパーカーブーム。あちこちで開催されるスーパーカー展示会やスーパーカー・グッズ・・・何故かファンタの裏蓋にもスーパーカー!?当時はゴールデンでテレビ番組が組まれるほどの人気ぶりでした。

 そんな中、転機が訪れます。た〜ちゃんはいつも暇があると近くの国道沿いにある中古車屋さんで車を眺め時間をつぶしていました。その日も何気なくいつもの中古車屋さんへ行き車を眺めていました。すると一緒にいた友人が「た〜ちゃん!ポルシェだ!!!」と叫びました。とおり去っていく姿がはっきりと目に焼き付く、あの独特な形・・・「あれは・・・!?」
た〜ちゃん達は藁をもすがる気持ちで自転車をこぎ追いかけました。これを逃したら二度とポルシェに会えないかも知れない・・・。さいわい国道の先では渋滞気味でした。しかしポルシェまで追いつくと離れ・・・といったウサギとカメの競争が続き、こいでいるペダルにもいよいよ力が入らなくなってきたそのとき・・・ポルシェのドライバーとミラー越しに目が合い、明らかにこちらに気付いた。次の瞬間、国道から細い路地に入るポルシェ。
ポルシェはスッと停車し、ドライバーが降りてきた。
ドライバー「やあ、君たちポルシェが好きなの?」
た〜ちゃん「うん!大好き。」
ドライバー「そ、そっか・・・じゃあ、気が済むまで見て良いよ!」
もしかしたら、長い渋滞で先を急いでいたかも知れないそのポルシェのドライバーはにこやかにポルシェの隅々まで説明してくれたという。

「子供だったオレには、まるっきり理解できませんでした。しかし、この車が『ポルシェ・ターボ』だと言う事だけはハッキリと解ったのです。今でもはっきり覚えている、体中に電気が走った様な感覚、これがポルシェ930ターボなんだと・・・。」

 この時の思いが強烈だったため、その後頭の片隅にはポルシェ930ターボの余韻が常にあったといいます。そんなた〜ちゃんも免許を取れる年までなりすぐさま免許取得。そして「さ〜ポルシェ♪」とはいかず・・・国産車を数台乗り継ぐこととなります。メカ好きなおやじさんのDNAをもろに引き継いだのか、スカイラインDR30を手にしてからは自宅でチューン、行き先は首都高と・・・毎週のように、船橋や学園都市に通っていました。そうして組み上がったDR30はタービン交換、大型インタークーラー、ヘッド加工などをやりこんだものに。かなりのハイパワー車に仕上げ、某雑誌主催のドラックレースにも出場していました。

「FJ20DETエンジンは930ターボに似たドッカンターボで、いかにもターボ車に乗っていると言う楽しさが伝わってくるもの。素人でも手がつけやすく、耐久性もあるので弄りがいがある。最終的にはTo4E+MoTeC仕様になったのだけど、最初はK26に追加IJを自作ブーストコントローラー改、IJコントローラーで全噴射仕様、こんなものでも十分楽しめた仕様でした。」

 そんな毎日を送っていた、た〜ちゃん。某国道でのドラッグレースではかなり腕をならしていたそうです。でもある日・・・悲劇は訪れます。フェラーリ348とシグナルをした時、突然のエンジンブロー・・・。前兆は全くなく、いきなりガラガラ言い出し、数百メータ走った所でストップ。そのまま息を吹き返すことはなかった。

「オーバーレブしたのか、2番シリンダーのバルブがピストンを突きブロー。バラしてみたら、リテーナーが割れていました、振り返ってみるとバルブスプリングだけ強化にしたのが原因かな・・・。」

 やむなく空虚感を味わってしまい、このまま終わるのかと思いきやそこはた〜ちゃん。今でもマニアの多いR32/GT-Rに出会います。愛着のあったDR30を生き返らせたくて、そこまでの繋ぎで乗ろうと思いましたが、実際に所有すると、思わずほほえんでしまうぐらい面白いし速い。これは意外な誤算でした。さらにタイミングよくDR30が欲しいという方が見つかり売却して、ここからはR32で行くことになりました。
安心で速いGT-Rです。それはそれで楽しいのですが、乗り続けるとワクワク感がいま一つ(?)。DR30で慣らしたた〜ちゃんとは、どうも相性が今ひとつな様でした。

 でも仕方がない、これで落ち着こうかな・・・と思いかけたときに、仲の良い友達がビッグバンパーのカレラを購入し、た〜ちゃんの所へ遊びに来たのでした。ポルシェを間近で見た瞬間に子供の頃の思いがフラッシュバックし、それからはポルシェ熱がぼぁ〜っと再発する毎日を送りました。相場を調べてみたところ、もしかしたらビッグバンパーのカレラだったら買えるかも知れないという希望を持つようになりました。
そうこうしていると、友達がカレラを買ったお店の営業マンが独立されて、自分でお店を持つことになったというので、そこのお店にも何度か足を運んでいました。その営業マンだったショップの社長は高田順二似のちょっと怪しい調子の良いオジサン(笑)で一人ショップを切り盛りしていました。お店は小さいけれど、在庫車両はガレージ保管のハイグレードなお店。暫くしてショップに顔を出すと「こんにちは、た〜ちゃん。実は私の伝のあるショップに・・・一台出物の930ターボがあります。ご興味があるなら引っ張ってみますが?」と悪魔の囁き・・・でもた〜ちゃんは「見たいです!」と一つ返事しました。
後日入荷したとの知らせを受け、心臓が口から出るぐらいバクバク言わせながらお店へ行ってみると、そこには子供の頃に見た黒い930ターボが凛と息を潜めていました。見た瞬間、周りの空気は凍ったようになりた〜ちゃんは愕然とし膝の震えが止まりません。見た瞬間にその黒い1985年式のターボの虜となり、即座に愛機とする決心をします。しかし本心とは別の自分が呼びかけ「即日購入に良い事は無いぞ・・・。」とささやいた事もあり、「か、か、か、考えさせてください。」と、一時保留にしました。
意外に交渉上手なた〜ちゃんは数週間後、試乗の後にR32を下取りに購入しました。しかし良いことも悪いことも・・・。実は納車前はエンジン不調で全然吹けず、車両代金に不調修理代は実費で直してもらったといいます。

 不安とは裏腹に、購入前にエンジンを直したことによりその後は大きいトラブルがありませんでした。思い当たるマイナーなトラブルとして、クーラーコントローラーが故障状態ということ。クーラーはどうせ効かないので気にしないということで、後に全て撤去しました。ちょっと寒くなってきて「あれ?」暖房が効かないのは予定外でした。別のショップで見てもらったら、ヒートエクスチェンジャーの弁を動かすワイヤーがオイルラインに刺さって動かないのが判明しました。これにはた〜ちゃんもビックリでした。
現在はモンティーのマフラーにANDIALのインタークーラー、エアクリをパワーフロー化し、純正930の良さを生かしながら乗っています。内装はBRIDEのフルバケに小径ステアリング、RSドアパネルでスポーティーさを演出しています。外装はS-Mode/フロントスポイラーにRSウイング、それにエクステンションでGTウイングを取り付けています。ホイールはワークのイクイップ17inchにBSのSタイヤ。面白い改良点としては先ほどのヒーター弁のワイヤーを助手席に固定し、シートポジションの前後で弁の開閉をしているところ(!?)です。これは、ツーリングなどでも常に付き添っている、奥様が自在にヒーターをコントロールできるというた〜ちゃんポルシェの特徴の一つになっています。最近では抜けたショックをビルシュタインのスポーツに交換、BSのSタイヤでサーキット走行に備えました。
また、これらの改造やメンテの殆どを自らで行った為、比較的安価で抑えることが出来たと言うことです。しかし走る度に増え続ける飛び石キズの多さには本人もビックリ。フロント周りがサンドブラスト状態なのも今では特徴の一つとなりました。愛情たっぷりに洗車しているときは、そんな飛び石キズさえも微笑ましく思えると言います。た〜ちゃんのポルシェを見ていて思うのですが、930ターボの持つラグジュアリーさにはあまり関心が無く、またはそこまでハードなレーシング仕様にもなっていない。あくまでストリートに合わせた仕様で、お気に入りのスニーカーの様に使っている。

「930は通常の整備をしていれば、それほど壊れやすい車ではありません。スーパーカー世代には憧れの930ターボ、是非乗って楽しんでください。ポルシェ(930ターボ)の良さは乗ってこそ解ります。楽しいポルシェライフを一緒に楽しみましょう!」

 ポルシェの他にはベンツW124マニアだったり、カートが得意だったり、車系漫画にも詳しかったり車オタク要素も満載ですが、もしかしたらそういった広く視野を持つことがポルシェというものを理解するに特化しているのかも知れません。
前置きが少々回りくどい言い方になってしまいましたが、私はた〜ちゃんを見ていて等身大であるべき自らのポルシェ感が、無理せず930を維持できる秘訣なのでは(?)と思えます。